気分の落ち込みや不安感、やる気の低下──そんな心の不調は、
栄養不足が関係しているかもしれません。
メンタルと食事のつながりについてわかりやすく解説します。
心の元気は「食べもの」から~メンタルと栄養の深いつながり~
最近、気分が沈みがち…その不調、“食事”が関係しているかも?
「なんだか最近やる気が出ない」「イライラしやすくなった」「小さなことで落ち込む」──
そんな気分の変化を「年齢のせい」「性格の問題」と片づけていませんか?
実は、こうした心の不調は、体の内側=栄養状態の乱れが関係していることもあるのです。
近年では、「栄養精神医学(ニュートリショナル・サイカイアトリー)」という分野が発展し、
脳やメンタルの状態が、私たちの食事内容や栄養バランスと密接に関わっていることが注目されています。
薬に頼る前に、自分の毎日の「食べもの」に目を向けてみること。
それが、心と体を整える第一歩になるかもしれません。
心の健康を守る栄養素とは?
私たちの「気分」「やる気」「意欲」などは、単なる気合いや根性ではなく、
脳内で分泌されるホルモンや神経伝達物質によりコントロールされています。
それらの物質を作り出す材料が、ビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素です。
不足すれば、心のバランスが崩れるのも当然といえるでしょう。
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)|脳の炎症を抑え、心を守る
青魚(サバ・イワシ・アジなど)に多く含まれる「オメガ3脂肪酸」は、
脳内の神経細胞の膜を構成し、神経伝達をスムーズにする重要な脂質です。
現代人の多くは、植物油や加工食品の影響で「オメガ6脂肪酸」を摂りすぎている一方、
オメガ3脂肪酸は不足傾向にあると言われています。
最新の研究では、うつ症状の改善や、不安感の軽減にも効果があるとされ
サプリメントとしての臨床試験も進められています。
ビタミンB群(B6・B12・葉酸)|脳内ホルモンをつくる源
ビタミンB群は、エネルギー代謝を助けるだけでなく
「セロトニン」や「ドーパミン」といった「幸せ」や「やる気」に関わる
神経伝達物質の材料になる働きがあります。
これらのビタミンが不足すると、
イライラしやすくなる
ストレスに弱くなる
気持ちの浮き沈みが激しくなる
とくに、加工食品中心の食生活や、食事を抜く習慣がある方は、B群不足に陥りやすいため注意が必要です。
鉄・マグネシウム・亜鉛|メンタルに不可欠なミネラルたち
● 鉄
酸素を全身に届ける大切な役割を担う鉄は、脳にも必要不可欠。
貧血になると、「だるい」「頭がぼーっとする」「気力が湧かない」といった症状が出やすくなります。
特に女性は不足しがちですので特にお子を付けください。
アミノ酸やクエン酸を結合してより吸収力を高めた「キレート鉄」のサプリメントです。
● マグネシウム
神経を落ち着かせ、睡眠の質やイライラの改善に効果があるとされています。
ストレスが多い現代人はマグネシウムの消耗が激しいため、積極的に摂りたい栄養素です。
● 亜鉛
細胞の修復や、脳の働きを助けるミネラルです。
ホルモンバランスを整え、気分の落ち込みや無気力感の軽減に役立ちます。
トリプトファン|“幸せホルモン”の材料
トリプトファンは、大豆・乳製品・ナッツ類・バナナなどに含まれるアミノ酸で、
セロトニンの前駆体となる物質です。
とくに、朝食での摂取が効果的。朝トリプトファンを摂ることで、
日中のセロトニン→夜のメラトニン(睡眠ホルモン)へとリズムよくつながり、
自律神経と心の安定につながります。
トリプトファンとビタミンB3(ナイアシン)
トリプトファンから幸せホルモンであるセロトニンが作られますがビタミンB3(ナイアシン)も同じトリプトファンからつくられます。
人間の身体は幸せホルモンであるセロトニンよりもビタミンB3(ナイアシン)を優先的に作ってしまいます。
ナイアシンが足りなくなるとセロトニンの分の材料が減ってしまいセロトニンが充分に作られなくなってしまいます。
幸せホルモンをつくるためにもビタミンB3(ナイアシン)の摂取をオススメします。
注意!ナイアシンを摂取するとナイアシンフラッシュという副作用が出る場合があります。
・体が熱い
・赤くなる
・皮膚がチクチクする
・かゆい
ほとんどの場合1時間位で収まりますし特に害もありません。
副作用が気になる方はナイアシンアミドをオススメします。
腸の調子と心の調子はリンクしている?
あまり知られていませんが、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの約90%は腸でつくられていることがわかっています。
つまり、腸内環境が悪化すれば、セロトニンの分泌も低下し、
気分の落ち込み・不安・イライラに直結することがあるのです。
腸内環境を整える食材は?
腸内の善玉菌を増やし、発酵・吸収のバランスを整えるには、以下のような食品が効果的です。
発酵食品(納豆、味噌、ヨーグルト、ぬか漬けなど)
食物繊維(野菜・果物・海藻・きのこ・雑穀など)
水分(常温の水・白湯などをこまめに)
また、腸の動きを妨げる冷たい飲み物や添加物の多い食品は避けたほうが無難です。
血糖値の乱れと感情の起伏の関係
「甘いものを食べた直後は元気になるけど、すぐ眠くなる」「お腹がすくとイライラする」
──これらは血糖値の急上昇・急降下が関係しています。
血糖値が乱れると、交感神経が過剰に刺激され、焦燥感・落ち着かなさ・疲労感につながりやすくなります。
血糖値を安定させる食習慣とは?
朝食を抜かず、必ずたんぱく質を含める(卵・納豆・ヨーグルトなど)
食べる順番を「野菜 → たんぱく質 → 炭水化物」にすることで血糖値の上昇をゆるやかに
間食はチョコレートやジュースではなく、ナッツ・チーズ・果物などがオススメ
- 未精製の穀物を摂取。白米ではなく玄米。小麦は全粒粉がオススメ。
今日から始める、心を整える“食習慣”
ちょっとした工夫をするだけで、心のコンディションは驚くほど変わります。
すぐに取り入れられる7つの習慣
青魚(サバ・イワシ)を週に2〜3回
毎食にたんぱく質を入れる(卵・豆腐・鶏むねなど)
発酵食品と食物繊維を毎日意識
食事時間を整え、夜遅い食事は控える
朝食は特に重視する(“食べる”ことが脳を起こす)
カフェインやアルコールを摂りすぎない
よく噛んで食べる(咀嚼が自律神経を整える)
おわりに ~「性格」ではなく「栄養のサイン」かもしれません~
「自分が弱いから」「ストレス耐性がないから」と思い込んでいませんか?
でも実際には、それが体のSOS──とくに栄養状態の乱れであることも少なくありません。
食べることは、毎日行う“心と体のメンテナンス”です。
特別なことをしなくても、少し食習慣を見直すだけで、メンタルの安定につながる可能性があります。
心の元気は、食べものから。
今日の食事が、あなたの明日をやさしく支えてくれるかもしれません。